7月1日より全国の裁判所において,次にあげる書面等(ここでは一部のものを割愛しますが,通達により限定列挙されています。)に執行文の付与※1や正本認証※2する場合については偽造を防止するための措置を施した用紙(これを以下「認証等用特殊用紙」と言います。)を使うこととなりました。



・ 判決書(民訴法254条第2項のいわゆる調書判決も含む。)
・ 和解調書,請求の放棄または認諾調書
・ 調停調書
・ 労働審判書
・ 家事審判書
・ 金銭の給付を命じる仮処分決定書



これは,裁判文書の信用性を向上させるため,当事者の権利義務に重大な影響を与える判決書等の正本を認証する場合や執行文を付与する場合に,偽造防止措置を施した用紙を使用することが適当であると考えられるためです。



「認証等用特殊用紙」というのは,地方自治体で発行する住民票や法務局の発行する登記事項証明書及び印鑑証明書等をイメージしていただければ結構ですが,コピーするとその旨の印字が浮き上がる仕組みの用紙であり,また,発行場所や製造番号が印字されることで発行場所を特定できるものです。




※1 強制執行は,執行文の付された債務名義(債務名義というのは、ここでは確定判決をイメージしていただければ結構です。)の正本に基づいて行われる(民執法25本)ことになります。
執行文の付与とは,裁判所書記官がその債務名義に執行力が現存することやその及ぶ範囲を公証する文言で,債務名義の正本の末尾に公証文言を記載した執行文用紙ををつづります。
この執行文の付された債務名義の正本を執行力のある債務名義の正本と呼んでいます。

※2 書記官の行う事務の一つとして,証明事務というのがあります。
訴訟記録の正本,謄本や抄本の作成並びに訴訟に関する事項の証明書を交付する事務のことを言います(民訴法91)。
正本とは,原本の内容を,原本と同一の文字符号によってその全部を写した書面で,かつ,原本と同一の効力を有すると裁判所書記官が認証したものを言います。