映画のご紹介。


邦題は

十二人の怒れる男 [DVD
です。原題からするとけっこうひねった邦題がある中でなんのひねりもない邦題ですね。
¥1,750
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最近の話なのでしょうか、コピーライターの方々が頭をひねってユニークな題名をつけ始めたのは。

それともひねりようがないほど原題が完成されていたのかもしれません。


こんな時期にベタな映画紹介ですが、こういった映画は何度見てもいいので見ていない方はもとより見た方も今一度見られることをおすすめします。


法廷サスペンス(法廷ではないのだけれど)の金字塔です。

第1級殺人(いわゆる謀殺というもので、計画性がありアメリカの州法による殺人の中で一番罪が重い)に問われた若干17歳の少年。

この少年の審理を担当した12人の陪審員の評議にスポットを当てた映画です。

90分という映画全編、ほぼ評議室での陪審員のやり取りのみ。

しかし、そのやり取りは見応え十分。


人が人を裁かざるを得ないとき、答えを求めどうあるべきなのか。

半世紀以上も前に制作されたのにもかかわらず、一貫して変わらぬ命題。

シビれます。




・・・言わずとも裁判員制度とは異質のモノです。

陪審員は有罪、無罪を全員一致の意見で決めなければなりませんが、この裁判では第1級殺人という認定がされると量刑は必然的に死刑になるようです。殺人であっても死刑、無期懲役、有期懲役から選択できることや裁判員は量刑をも判断することになる点において大きな違いがあります。

また、評決は一般人の陪審員のみで行われることも裁判員制度とは大きくことなります。映画では陪審員の中から陪審員長を決め、評議を取りまとめていく必要があり、裁判員裁判のように専門家である裁判官がイニシアチブをとっていくのに比べると議論をまとめるのに難儀するのではないでしょうか。もしくは情緒的、感情的に投票し、証拠に基づく判断をせずに偏見や先入観によって有罪、無罪が決まってしまうおそれが多分にあります。

とはいえ、市民による裁判について一定の信頼があるゆえにそのような評決さえも支持されているのかもしれませんね。なんでも自分たちで決める、そんな権利意識が強いお国柄だからこそ決められたことは守ろうと思うのかもしれません。

裁判所へ提出する書面については実は事細かい決まりがあったりします。

私たちは日々大量の書面と格闘しているので少しでも読みやすい(私たちにです、ハイ)文書を好むのです。

利用される皆様方には御面倒をおかけしますが、無用のトラブル(というのは窓口で小言を言われるかも!?)をさけるためにも以下によった書面の提出にご協力ください。

もっとも、健全な社会生活を送られている方には無縁かと思いますけど(あ、やむを得ず裁判所に関われた方を不健全と言うわけではありません)



書面はA4横書きで。

1行  37字
1頁  26行
上端  35㎜
下端  30㎜(これによらずとも特に文句は言われません)
左端  30㎜(これは必ず守ってくださいね。これは左端に穴を開けて記録に綴るからです)
右端  20㎜(これによらずとも特に文句は言われません)
文字ポイント  12.0

申立書の一枚目は受付印を押すために、4行目にタイトル「訴状」であるとか「差押命令申立書」とかを記載してもらったほうがいいですね。

読点は,「,」ではなく、「,」を使用してください。アハ、このブログ、守ってないですね。

見出しにつける数字は、「第1」、「1」、「(1)」・・・の順に振っていきます。

金額は、「3万5000円」といったように「万」、「億」などと漢数字を用いてください(「35,000円」とか「3万5千円」ではありません)。
地名や電話番号などの数字については、全角数字を用いてもらってけっこうです。ただし、住所のうち、何丁目というのは漢数字で「三丁目」というように記載します(行政区画のはじめは固有名詞だからです)。


複数枚の文書を作成した場合、左側をホチキスで2か所止めしてください。多くの方が左上一か所止めで持ってこられますが、大学に提出するレポートじゃありません。

各紙面は各々各人の印鑑で契印(割印)してもらうか、下部中央部分に頭からページ数を振ってください(落丁の有無の確認、差し替え防止のため)


両面印刷ではなく、片面印刷です。

誤字等について訂正する場合は二重線を引いて訂正してください。修正液なんてもってのほかです。






原告に受訴裁判所が特別代理人を選任して訴訟追行をさせた珍しいケースがありましたのでご紹介します。


民事訴訟法35条1項は


「法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。」


と規定しており、本条の適用範囲は原則として法定代理人のない、または法定代理権の行使のできない未成年者などを相手として訴訟行為をする場合に限定されています。


つまり、特別代理人が選任されるのはいつも被告側なのです。


今回、未成年の娘さんがその父親に対してとある事情から損害賠償請求をしようという訴えがあり(母親はすでに死去)、この場合、民訴法の規定によって娘に特別代理人を選任することが可能かどうかが問題となりました。


この場合、娘の行為は民法826条の利益相反行為にあたり、


(民法826条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。)


本来ならば家庭裁判所に特別代理人の選任の請求を求め、この選任決定を得てこの特別代理人相手に訴えを起こすことになります。


しかし、判例によれば、その選任を待っていては損害が生じるおそれのある場合には、民訴上の特別代理人を選任することを積極に解しているようです。

このケースの場合、父親が民法826条に従った特別代理人選任請求する期待はなく(訴えられる側ですからね)、未成年者の保護をしようという観点から認められるのでしょうね。


とはいえ、特別代理人選任の請求について訴訟能力がない未成年者が適当なのか、疑問があるところです(消極説はこれを論拠とするようです)。


裁判員候補者の呼び出し状発送を開始 東京地裁


全国初の裁判員裁判と目される被告事件につき,裁判員候補者へ宛てて呼出状が発送されたようです。

世の中的には「赤紙」なんて揶揄されておりますが。



裁判所書記官だってしゃべりたい

画は報道陣に公開された呼出状の発送作業です。

部屋は会議室ようにしか見えませんが,こんな簡素なところでホントに発送作業なんてやってるんでしょうか?!ヤラセのようにしか見えません。ま,司法記者クラブからリクエストがあったんでしょうねぇ,こういう画を撮りたいと。

実にくだらない。これに応じる裁判所もどうなんでしょ?!

裁判所の広報って違うところでやるべきではないでしょうか。